東京の下町情緒が溢れる深川…そして墨田川と荒川に挟まれて何本もの運河が交差する伝統の街、“木場”。都内でもシネコン激戦区となってきている湾岸エリアに2000年11月にオープンした『109シネマズ木場』は営団地下鉄東西線“木場駅”から徒歩3分の所にあるイトーヨーカドー内に併設されたシネマコンプレックスだ。近くには富岡八幡宮や下町の雰囲気が今でも残る町並を散策する事が出来る。ようやくオープンしてから1年が経過し、順調にお客様の数も増えてきている『109シネマズ木場』。「オープンしてから半年は余り際立った集客が見られなかったのですが昨年の夏休みに入ってから大作・話題作が集中したおかげで動員数が増えました。やはり一度、来場いただければ劇場の施設に満足されてリピーターとして何度も足を運んでいただけています」と語るのは板倉竜也支配人。客層としても近隣の方が中心となっているだけに「ようやく夏以降ココに映画館があると認知してもらえたようで、良い方向へ向かって来ていると実感しています」。子供を中心としたファミリー層がメインの劇場だけに平日以上に土日・祝日の集客が圧倒的に多いコチラは、自然に子供向けのプログラムが充実している。春・夏・冬休みの子供向け作品は勿論、秋のアニメ番組も圧倒的な集客を見せているのが大きな特徴だ。 |
それだけに今後の課題としては平日の集客をもっと増やしたいという板倉支配人…「同時にイトーヨカドーの食料品売り場に来られるお客様との連動が、まだ上手く行っていないのでお互いに相乗効果を上げていくというのが『109シネマズ木場』と言うよりも、このショッピングセンター全体の課題でもあるわけです」イトーヨーカドーの3階にある『109シネマズ木場』のロビーは奥が1階からの吹き抜けとなっており、しかも全面ガラス張りなので昼間は自然光が充分取り入れられる開放的な設計が施されている。またロビーの柱や床には“109シネマズ”の名物となっている映画の名台詞が散りばめられ、映画ファンならば思わずニヤリとしてしまいたくなるだろう。ロビー中央にあるウエルカムボードには8台のテレビモニターで上映作品の予告編が流されており、ボードの陳列棚には次回上映作品やお得な情報が掲載されたチラシが置いてあるので要チェックだ。 |
中央にあるシアター入口を挟んで左手にはコンセッション、そして右手にはチケットカウンターがある。コンセッションでは沖縄で有名な“ブルーシール”アイスクリームが販売されており、子供から大人まで人気のメニューのひとつだ。またシネマショップで一番の人気なのが意外な事に映画の前売り券というのがコチラの特長でもある。「実際、ひとつの劇場で売られる前売り券の数としては非常に多いですね。事実、“ハリーポッター”だけでも4000枚という数が売れました」と、驚きの表情を隠せない板倉支配人。 他にもサービスとして好評なのが“シネマポイントカード”だ。入会金無料で発行されるポイントカードをチケットを購入の際に提示すれば1ポイント分の捺印をしてもらえる。3ポイントでポップコーンのSサイズを、5ポイントでブルーシールアイスクリームを、そして6ポイントたまると入場券として利用出来るというリピーター向けのうれしいサービスだ。「このサービスは昨年の夏以降かなりのお客様に浸透してきているようで、利用数も増えています。まだまだ改善の余地がありますので今以上に充実した内容にするよう模索している最中です」コチラのサービスはレイトショウやレディスデー割引でも捺印してもらえるので、どんどん利用してもらいたい。また、同様のサービスとしてシニア向けのポイントカードも発行しており、これさえあれば毎回証明書をチケットカウンターで提示しなくてもポイントと共に証明書代わりになりシニア割引も受けられるという。また現在、試験的に座席の事前予約も開始(日時や対象作品は限られているので詳しくは劇場まで)軌道に乗れば本格的にサービスが始まる。 |
ロビー中央の“Let's Enjoy !”と書かれているコリドーを入って行くと左手にスクリーン1から4、右手にスクリーン5から8へと続く通路がある。各々ポップなイエローとシックなブルーのライティングを基調とした通路はとてもユニークなデザイン。そして一歩場内へ足を踏み入れると通常のスタジアムシーティング形式の段差以上に傾斜が付いていることに驚かされるであろう。「ウチの段差は他所に比べてかなり傾斜が激しいですから、まず前列に身長の高い方が座られても頭が掛ることが無いと自負しております」と板倉支配人の言葉通りどの位置に座ったとしても観易い設計となっており一番後ろの座席に座ると丁度良い目線にスクリーンが来るように、子供連れの層が多い劇場だけに子供の視野を配慮した計算されているのだ。「ただ、段差が激しい分お子様には充分注意していただくように配慮をしております」そして、これはイトーヨーカドー全館、バリアフリー設計で車椅子の方でも快適に映画を鑑賞出来る配慮がされている。スクリーンも通常のサイズよりも大きめのスクリーンを使用しており一番小さい“スクリーン4”でも場内の大きさと比較してもその大きさを実感出来るであろう。 |
サウンドシステムは3Wayスピーカーを採用しており、臨場感溢れるダイナミックな音響効果を体験、重低音のキレの良さに満足すること間違いない。座席は全てハイバックシートを使用しており背もたれが通常のシートよりも大きいので深々と腰を降ろしても苦にならない程、人間の体にピッタリとフィットしている。また前列のシートの後ろには買物袋をかけられるクリップハンガーが付いており、買い物帰りのお客様には好評の設備だ。そしてカップルに大人気のペアシートは全スクリーンに設置されており一般席と同様の料金で利用出来るのがウレシイ。中央の肘掛けを持ち上げるだけでペアシートに早変わりするだけに、ゆったりとした設計なので快適に映画鑑賞が楽しめる。 2002年12月には同敷地内に現在建設中のフィットネスクラブや飲食店が入ったインテリジェントビルとオフィス棟が完成し、駐車場も現在の850台から1200台収容可能になり、ますます充実する近隣施設。これらがオープンする事で新しい街としてのショッピングモールが誕生し、新しいお客様の層が期待出来る『109シネマズ木場』…今まではファミリー層中心だった劇場もあらゆるニーズに対応した作品を提供していく方針だ。「とは言っても作品も大切ですが、一番重要な事はお客様に気持ち良く帰っていただくための接客サービスなんです。」と語る板倉支配人…コチラの劇場に赴任される前は都内有数の大劇場“渋谷パンテオン”に在籍していただけに「一般のロードショウ館と違い、ひとつの施設に多数の劇場を持っているシネコンは、常に映画が上映されているわけですよね。ですから流れ作業みたいにならないようにと心がけています。」という言葉を裏付ける様にスタッフの笑顔が印象に残った。(取材:2002年2月) 【座席】 |
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