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大阪の中心地であり関西の玄関口、梅田は情報発信基地として関西の最先端を行く街だ。正に学生から社会人に至るまで次時代をリードする若者で日々溢れ、流動的に新しい“何か”を送り続けている。その梅田の中心地に最大級の規模を誇る、商業施設とアミューズメントパークを融合させた多目的スポット“HEP NAVIO”“HEP FIVE”がある。カジュアルからフォーマルまで生活雑貨やファッショナブルな個性派ショップ、さらにバラエティに富んだレストラン街が充実している都市型ショッピングセンターだ。その“HEP NAVIO”の7階から9階に東宝直営の7スクリーンを有するシネマコンプレックス『ナビオTOHOプレックス』が2002年11月にオープンした。郊外型が定着しているシネコンが都心の…しかも関西イチ利用者の多いターミナル駅近に出来たということは当時、大きな話題を呼んだ。 コチラの劇場の歴史は古く1937年まで遡る。前身は“北野劇場”“梅田映画劇場”“梅田地下劇場”の3つの大劇場で、当時“北野劇場”では映画ではなく宝塚少女歌劇の上演を行っていた。そして1980年10月23日、現在の建物“ナビオ阪急”に建て替えられると同時に8階に“北野劇場”“梅田スカラ座”“梅田劇場”がオープンする。日劇1チェーンで東宝洋画系の上映を行っていた“北野劇場”は1016席を有する大阪屈指の大劇場であり、同じく東宝洋画系日比谷スカラ座チェーン劇場の“梅田スカラ座”、東宝邦画系の関西メイン館だった“梅田劇場”も各々937席、920席という負けず劣らず大劇場の風格が特徴的な映画館として幅広い客層に支持されていた。元々、ココ梅田という街は大劇場の街であった。大阪を代表する大劇場として“北野劇場”と人気を二分していた“OS劇場”もコチラと隣接しており、大きなスクリーンで映画を観たい!というこだわりのファンは梅田を目指して来ていたのだ。続く1987年10月23日にムーウ゛オーバー作品や単館系作品を上映していた“ナビオシネ4・5”が7階にオープンし、コアな映画ファンまで確実にカバーするようになった。 |
これら各々独立していた劇場を2002年のリニューアルで、ひとつにまとめ、より良いサービスを提供するシステムを導入した『ナビオTOHOプレックス』。大劇場の風格を残しながら現在(いま)の若者に対応した新しいサービスを提供し、古い時代の良さと新しい時代の便利さを上手く融合させようとしている。7・8・9階にあるコチラの劇場、メインは8階。専用のエレベーターで上がると目の前にファンタジックな宇宙空間を思わせるきらびやかな世界が広がり、半円形の天井に埋め込まれた照明は赤、青、緑と色を変化させる。そして、その照明は奥にある各シアターへの導線となっており、シアターへ続くコリドーはまるで宇宙船の通路のようだ。コンセッションのあるメインロビーは広く開放的で休憩所や喫煙所などを点在させる事で“広く取るべき空間”は、そのスペースを確保する事に成功している。エレベーターの前にあるチケットブースでは1週間前からチケットを購入する事が出来、勿論全席指定の完全入替え制を導入している。「土日になるとチケットブースに長蛇の列が出来てしまいますので、その対応が今後の課題」 |
劇場スタッフの小林泰子さんが語る通り休日、特に話題作の公開初日は多くの若者で長蛇の列が途切れないほど賑わいをみせる。それだけにお目当ての映画は1週間前からチケットを購入さえすれば、当日はゆっくりと並ぶ事無く上映しているシアターまで行けば良いのだ。「公開初日の映画を観る際のお得なチケットの買い方は1週間前でしたらグッズストアで前売り券を購入してそのままチケットブースでチケットと引き換えていただけると、お時間も金額も掛からずに済みますので是非、活用していただきたいですね。」と言われる通り土曜日を除くレイトショー割引(1200円)や金曜日のファーストショウサービス(1300円)も事前に購入できるので利用してはいかが? 青のネオンに彩られたグッズストアでは上映作品の関連グッズや前述した次回作の前売り券が揃えられており休日は鑑賞の記念に…と購入される方が長い列を作っている。また、その横にあるインフォメーションカウンターでは上映のご案内からお客様の問い合わせにスタッフが丁寧に対応。ココでは一時荷物のお預かりも受け付けてくれる等幅広いサービスを実現している。
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大劇場の風格を残しているスタジアム形式の場内。シアター1は客席数746席とシネコンでは類がない程の広さを誇っている(シアター2、3も客席数400を超える)。さらにシアター1から5は“TOHO HIGH-QUALITY AUDITORIUM SERIES”と呼ばれる映像鑑賞空間の規格対応を実現しており最高の音響と映像を体験する事が可能だ。DLPシネマプロジェクターでの上映が可能なシアター1の背後の壁にはスピーカーの内部構造を彷佛とさせるモザイクの装飾がなされているが、これは重低音の音響に対応する吸音ボード。これによって残音レベルを大幅に抑えている。ちなみにシアター1・2・3にはサイドテーブルが付いたプレミアシートを装備、エグゼクティブな気分でゆったりと映画鑑賞を満喫できるのが魅力。9階には“梅田スカラ座”“梅田劇場”の2階客席部分だったスペースを利用して新たに出来た二つのスクリーン、シアター4・5。7階の“ナビオシネ4・5”だった場所にシアター6・7があり、落ち着いたミニシアターとして幅広いファンに支持されている。 コチラの最先端の設備は映像や音響だけではない…ロビーから場内に至るまで完全バリアフリーで車椅子スペースは勿論、男女別に身障者用トイレを設置している。また、全シアターに難聴者向けのアシストフォン対応のヘッドフォンシステムを導入する等、全ての人が楽しく映画を鑑賞できる環境を作り上げているのだ。(取材:2003年7月) |