横浜の観光スポットとして注目を浴びている“みなとみらい21”地区は未だに進化し続けている街だ。桜木町駅前周辺から始まった開発は横浜駅にまで達し10年以上経過した現在も街は拡大している。2004年2月に渋谷と元町を結ぶ“みなとみらい”線が開通したことで街の発展はピークを迎えた。そのピークの真っ只中…2004年11月26日神奈川県初のDLP上映設備を有する大型シネマコンプレックス『109シネマズMM横浜』が新高島駅前にグランドオープンした。「元々、横浜は映画館が多い映画文化が確立されていた場所ですからある意味映画館慣れしている土地なのです」と語ってくれたのは副支配人の中島幹和氏。「初めて訪れたお客様は“キレイな劇場で驚いた”と口にされ、それが口コミで広がってリピーターが増えて来ました」 |
横浜港開港以来、映画という西洋文化にイチ早く馴染んで来た横浜の住人も認める劇場が誕生したワケである。本格的エンターテインメント施設“GENTO YOKOHAMA”の2階に広がるナチュラルな雰囲気のロビー。フロアは木のフローリングとなっており従来のシネコンの持つイメージとは異なったデザインが印象的だ。暗いライティングのロビーとは逆の発想でクラシカルなデザインを基調とした明るい空間作りをコンセプトにしている。更にエスカレータを4階に上がると海側の壁面がガラス面になっているロビーラウンジがある。昼は明るい自然光が降り注ぎ、夜にはみなとみらいの夜景が一望出来、昼間とは違った大人のムードが漂っている。 |
コンセッションで販売されているスイス無農薬素材を使用したクロワッサンは劇場内のオーブンで焼き上げるというこだわりを見せたり、4階にはアジア初のシネコン内にハーゲンダッツショップが出店している等、映画をより楽しめるサイドグッズが取り揃えられている。また土日限定で焼き立てのピザ(ピザーラ)を時間を決めて販売しているのが何とも心憎いサービスだ。7月より今まで発行されていたポイントカードをパワーアップし、クレジット機能付きカード(入会・年会費無料)が登場(クレジット機能無しのタイプは会費1000円)。特典として入会時に映画1本を招待してくれ、映画1本につき1000ポイントが加算され6本観ると無料観賞券がプレゼントされる。その他にも数々の特典、サービスが満載のカードは映画をたくさん観たいと思っている方にはおススメのアイテムだ。会員以外でも利用出来るインターネット予約も充実し、利用率はアップしている。 |
こうした様々なサービスを提供しているだけに、スタッフの対応サービスも重要なポイントになっている。「オープンして半年が経過してスタッフもようやく慣れて来た感じがします。初めての夏を迎えるに当たって、その慣れを良い方向に進めていきたいと思っています。」と自信を持って語る中島氏。オープン当初はお客様の列を潤滑に処理出来ずロビーが混乱した事もあったというが今では長い列が出来ても各自の役割をしっかりと果たしスムーズな対応が成されている。前述した通り、神奈川県初のDLP上映(フィルムを使わずにデジタル化された映像データを投影しているためクリアな映像が実現される)が可能な2つのスクリーンを有しているのが最大のウリだ。場内は落ち着いたシックなトーンで統一されており、快適なリクライニング機能と専用テーブルが付いたエグゼクティブシートはロビー同様ナチュラルな木の風合いを活かしたシートを採用しているのがポイントだ。 |
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シアター9と11に設置されているエグゼクティブシートとペアシートは問い合わせも多く、記念日や贅沢に映画鑑賞をしたい人におススメだ。またシアター7にはスカイウォーカーサウンドとパイオニアが共同開発を行ったTADスピーカーを設置しており音質の良さは最高級を誇っている。オープン直後の2005年お正月興行よりもゴールデンウィークに動員記録と興行収入記録が樹立された事実でもコチラの劇場が着実に支持されて来ている事が良く判る。「正直言って私も驚いているのですがGWは、これといった目玉となる大作・話題作が無かったものですから…ただ、半年間やってきた努力が作品に依存しなくても成果が得られるという自信がつきました」と振り返る。今後はスクリーン数の多さを活かしたプログラムを展開していきたいと豊富を語る中島氏だが、その具体例として挙げられるのがオープン時から行っている韓国映画の上映だ。韓国映画だったらココに来れば観る事ができる…という劇場のイメージをお客様に定着させるため今後も意欲的に途切れる事無く韓国映画上映は継続していきたいという。他にも単館系作品の上映を行う等、幅広いプログラムが劇場の魅力となっている。既に、横浜に限らず神奈川県広範囲からリピーターが増え続けている『109シネマズMM横浜』…。「みなとみらい地区は街がお客様を育てて来た場所で、そのお客様がウチの劇場に来て頂いている訳ですから、その分街に恩返ししたいと考えています」と中島氏は語る。今年から毎年6月に開催される“フランス映画祭横浜”の会場として提供するなど地域の活性化を応援しつつサービスやプログラムの向上を図っている。是非一度、情緒溢れる歴史と文化、そして近未来的な情報発信基地…等々、絶好のロケーションを有するこの場所だからこそ味わえる雰囲気を映画観賞にプラスしてはいかがだろうか?きっと映画の余韻に浸りながら歩く街の姿はちょっと違って見えてくるはずだ。(取材:2005年6月) |