渋谷駅から青山へ向かって歩いて5分、宮益坂を上がってすぐの場所に突然現われる個性的な建物─2000年9月にオープンしたミニシアター『シアター・イメージフォラム』だ。階段をコンセプトとした映画館だけに階段を効果的に使用していたり視覚的にも階段の持つ幾何学的な建築美に溢れている。設計を国際的に活躍している新進気鋭の建築家、高橋正治氏が手がけ映画のみならず建築に興味のある方も一見の価値があるほど。それ以上に、重要な事はコチラの建物が映画館としての建物であることだ。「ビルの中に作ったのではなく、映画館をまず前提に考えたことが大事なんです。天井の高さとか床の傾斜を映画鑑賞に一番ふさわしい形に設計して、音響にしても理想的な環境に出来たと思っています。」と語ってくれたのは支配人の畠山順氏。「ウチで掛ける作品は個性的なものが多いですからね。やっぱり建物も個性的な外観の方が良いだろうと思いお願いしたわけです。」ガラス張りの外壁から見える交差する階段、そして館内に入るとロビーにも階段が…。実はロビーにある階段はフェイクの階段で天井で行き止まりになっているチラシ置き場となっている。 |
中には本当の階段と思って上まで駆け上ろうとする方もいらっしゃるとか。「チラシを探す楽しみがあると思うんですよ。今ではたくさん映画のチラシを送ってきて置き場がなくて困っているんです。」と言われるくらいチラシの種類は、ココに来れば全てが揃ってしまうほど…開場までの待ち時間が楽しく過ぎていく。前身は1980年に設立された『アンダーグラウンドセンター』という団体名で実験映画の制作・配給・上映また映像作家育成の講座を開設していた。その一貫として出版部門では雑誌を発行したりアバンギャルドな映像のビデオを出していたりと幅広く活動を行っていた。そんな『イメージフォラーム』が映画館を設立したのは「解り易い映画も良いんですけど、もう少し20代後半以降の人達や、たくさん映画を観てきて“通り一辺倒な映画ではない”アバンギャルドな映像を観たいといった人達に向けて発進できる…そんな映画館を作ろうというのが始まりです。」かつては“シネヴィヴァン六本木”や“寺山修司の“天井桟敷館”で上映していた作品をココで観る事が可能になったわけだ。 |
1階にある『イメージフォーラム1』はブルー系の色で統一、地下にある『イメージフォーラム2』はイタリアンレッドで統一されている。どちらの場内も天井が高く、しかもスクリーンが比較的高い位置に設定されている事と床の傾斜が充分に取られているおかげで前列の人の頭が邪魔になることはない。コチラで上映されている作品は大きく分けて新作、クラシックス、レイトショウ、アバンギャルド・クラシックスの4つのプログラムで構成されている。クラシックスに関しては現在、特集上映という形で監督やジャンル毎でプログラムを組まれている。「作品の選定に関しては、やはり自分たちが観たい作品を上映したいという気持ちがありますよね。 |
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コチラの劇場ならではのサービスとして『シアター・イメージフォラム』の会員になると2000円の年会費で毎回1000円で1年間映画鑑賞が可能になる。3回観れば元が取れるというわけだから会員になったほうがお得というわけだ。現在のところ2000人ほどが会員になっており圧倒的に女性が多い。「ウチの劇場は7割が女性ですからね。作品によっても違いますけど“LISE嘘”のような過激なセックスを描いた作品ですら女性が殆どでした。」また、コチラの会員特典として一ヶ月半毎にインフォメーションを郵送してくれ最新情報は勿論、定期的に行われる青山ブックセンターと共同主催のトークショーを無料で参加が出来る(ちなみに一般だと500円)というのだから映画の楽しみ方もより深くなるだろう。また、一度受け付けを済ましてしまえば整理券番号が渡されるので開場までのあき時間を利用して青山を散策するのも良いだろう。「今では自宅でも充分映画を楽しむことは可能ですけど、映画館という空間で皆と一緒に感動を共有するという事は凄く大事だと思うんです。それにふさわしい環境をきちっと作ってあげないと、やはり映画館離れというのは進んでしまうんでしょうね。本当に映画に浸って感動できる場を提供するのは映画館の使命だと思います。」と語る支配人の思いがコチラの劇場に今も昔も変らず息付いている事は確かだ。(取材:2001年6月) |
【座席】 『シアター1』64席/『シアター2』108席 【音響】DS・SR・SRD 【住所】東京都渋谷区渋谷2-10-2 【電話】03-5766-0114 本ホームページに掲載されている写真・内容の無断転用はお断りいたします。(C)Minatomachi Cinema Street |