|
「今日は何にしようかな?とブラっと来るのではなく“この映画を『シャンテ・シネ』で観るんだ”と決めて足を運ばれるお客様ばかりなので、大事にしたいですね。ミニシアターから大劇場まで通りに面して隣接している街なので映画ファンにとっては楽しめる場所だと思います。」という言葉通り、休日ともなると映画・演劇を鑑賞される様々な世代の人々で賑わうこの場所は今でも間違いなく映画街なのだ。客層は圧倒的に女性が多く、平日の昼間は主婦の方がメインだが、夕方以降は会社帰りのOLが中心。それだけに年齢層も渋谷に比べると高い。オープン当初は“フランス映画社”提供のヨーロッパ映画を数多く扱って来た劇場の作品群を見ても“ベルリン天使の詩”“エド・ウッド”“イル・ポスティーノ”など女性向けの作品が多い。また、テオ・アンゲロプロスやビクトル・エリセ監督の作品を数多く紹介したり特集を組まれたりしてファンを喜ばせてくれる。最近ではヨーロッパに限らず、あらゆる国々の作品を紹介しており“こころの湯”のような中国映画にシニア層が集中するなど作品形態も幅が広がってきている。「シニアの方々こそ、どんどん表に出て映画を観て欲しいですね。映画館に来られている年輩のお客様は皆さん元気ですよ。」支配人の言葉通り劇場から出て来る年輩の方々の表情は豊かだ。「基本的にはエンターテインメント、ドラマ、アート…これらを3本柱として廻して行けたらと考えています。特にアート系の作品は現実的に動員数が減っているので、これを何とか当てて行きたいですね」と、言われる通り、歴代ミニシアターのヒット作には意外とアート系の作品は見当たらない。 |
「昔は難しい映画をあえて観るという風潮がありましたけど、最近は解り易い作品に走ってしまうようです。“今観たのは何だったんだろう”って考えることが映画の楽しみのひとつだと思うんです。若い映画ファンの方には難しい映画こそチャレンジしてもらいたいですね」今年は開館15周年記念として数々のイベントや作品をラインアップされている中にカンヌ映画祭コンペ部門に出品された作品もズラリと待機しているそうなので今後のプログラムは要チェック。 たまには、あえて考える映画を観て新しい方向性を見つけてみてはいかがだろうか?『1』と『2』のロビーは暖色系の色で統一されており、高級感溢れる雰囲気にこれから始まる映画へのムードも高まってくる。一方、地下にある『3』のロビーはブルーの色調と木目の壁がナチュラルな雰囲気を醸し出しており待ち時間もゆったりとくつろぐことが出来る。場内はミニシアターの中でも天井が高く設計されており、特に『2』に関してはスタジアム形式の傾斜がついており、前の人の頭が邪魔になることなく、どの場所からでも観易くなっている。 |
サービスとして水曜のレディースディ割引、東宝系で行われている金曜日のファーストショー割引は勿論、15期を迎える“シャンテ・シネクラブ”に入会すると当日券の割引だけではなく様々な特典が付いてくるのだから機会があれば是非、入会してもらいたい。国籍・ジャンルを問わず厳選された上質の映画を提供している『シャンテ・シネ』…これからも刺激を与えてくれる作品を映画ファンに贈り続けてくれる事だろう。(取材:2001年8月) |
|