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大阪の中心部に建つツインタワー“新梅田シティ”。緑に囲まれた都会のオアシスとして大阪の新しいシンボルとなったこの施設に二つのミニシアターがある。“梅田ガーデンシネマ”と2000年12月23日にオープンした『シネ・リーブル梅田』。ミニシアターが多い梅田地区に最も新しく参入したコチラの劇場は映画会社である日活(株)が運営、洋画・邦画を問わず幅広いジャンルの作品を送り続けている。ターゲットを大人向けの単館系作品に絞り込まず、夏・冬・春休みシーズンにはファミリー向け作品も上映している。幅広い年齢層に向けてロビーの雰囲気もポップな色調で構成されており黄色と緑の配色が実に楽しい。 |
ロビー壁面は全てガラスで覆われているおかげで日中は充分に自然光が降り注ぎ、梅田の街と眼下には公園広場を臨む。休憩カウンターも全てガラス面に向かって設置されているおかげで上映までの待ち時間を景色を見ながらゆっくりと過ごす事ができる。客層としては、やはり女性がメイン。「勿論、女性に受け入れられる劇場作りが運営する上でのコンセプトとなっています。女性にそっぽを向かれてしまうと映画館としては成り立たなくなる…最近では年齢層も上がって来ていますから目の肥えた30代後半の女性が気に入って来場していただけるような空間作りと作品選定に神経を注いでいますね。」と語ってくれたのは支配人の小嶋功一氏。確かに上映作品もバラエティーに富んでいるものの女性に受ける作品が多いようだ。シネ・リーブル名物と言っても過言ではないクラシックのモーニングショウ上映や日本映画においては黒沢清監督作品の特集を組んだりしている。過去のヒット作にしても“チョコレート”の初日には多くの女性ファンが詰めかけ通常4回の上映プログラムを急遽5回に増やした程だ。 |
「とは言うものの、逆に配給会社からウチで上映して欲しいとお願いされる事もあるので全てが女性向けというわけではなくレイトショウ等ではコアな作品をかけたりしています。とにかく…」と小嶋氏は続ける。「ウチの劇場の認知度を上げるのが一番の課題です。東京のミニシアター事情に比べると大阪は近郊の人たちが足を運んでくれない…特に神戸・京都の人たちが、わざわざ来たいと思ってくれるような差別化を図っていかなくてはいけないんです」その劇場の特色を出すためにコチラで行っているのが上映作品に関連したイベントの数々。“ストーリーテリング”の上映時は大阪在住の中島らも氏を招きトークショウを行ったり、“ジャズシーン”“僕のスウィング”上映時には大阪で有名なジャズカルテットのライブを開催。「今後も上映作品に絡めたイベントを行って“シネリーブル梅田に行けば何か面白い事をやっている”というのを浸透させたいですね」と熱く語ってくれた。他にも銭湯を描いた日本映画の異色作“水の女”ではお風呂に入っている女性の浮世絵を芸大生に描いてもらいロビーを装飾してもらう等、映画を立体的に楽しめる施策を次々と行っている。サービスとして毎日整理券を発行してくれるので早めにチケットを購入すれば時間までゆっくり出来る。水曜日のレディースデーにはお昼休みを利用して前もってチケットを購入するOLも多いという。また、コチラのサービスとして大好評なのが今年の6月より開始したシネマポイントカード。 |
これはお客様の要望から実現したサービスで年会費1000円を払えば当日料金が300円割引になる他、入場料金の10% がポイントとして加算、各ポイントでホットコーヒーやポップコーン等がついてくる。そして1000ポイント溜まると土日も利用できる無料映画鑑賞券が進呈されるのだが…実は入会時に1000ポイントプレゼント(翌日から利用できる)されるので年会費の元はその場でとれている計算になる。コチラのサービスは同系列の“シネリーブル神戸”でも行われており、どちらでも使用できるのがウレシイ。「実際、関西は割引に関する競争が関東以上に激しいんですよ。ミニシアターでも割引制度があるか否かで入場者数が違ってきますからね。今後はサービスの内容をさらに充実できるように…と考えています」 ちなみに館内のショップでは上映作品以外のパンフレットのバックナンバーも充実しており映画ファンにとってはありがたいスポットだ。そして、左右の壁面にズラリと並んでいる映画のポストカードは圧巻の一言に尽きる。カードを見ながら、懐かしい映画の思い出にふけっていると、あっという間に時間は過ぎてしまうだろう。このショップを中央にして両サイドにあるシアター1と2。場内は緩やかなスタジアム形式で全席カップホルダー付き、勿論場内での飲食は可能だ。「音響に関してはしつこい程、調整は怠っていない」と豪語する通り、クオリティーは最高。音の反響も少なく理想的な環境で映画を楽しむ事が出来る。「この場所は梅田の中心地から離れていて、最短のアクセス方法は370mある地下通路だけですから…心理的距離感があると思うんですよ。ただ、中心地から離れているおかげでデートには最適なスポットですよ。映画を観るだけではなく、その感動を出来るだけ永く…そのためにライブやトークショウを開催して、帰りに広場で余韻を楽しんでもらいたいですね」そう、映画というのは観終わって劇場を後にして…家に帰るまで続いているのだ。(取材:2003年7月) |
【座席】『シアター1』120席/『シアター2』93席 【住所】大阪府大阪市北区大淀中1-1-88 梅田スカイビル タワーイースト3階 【電話】06-6440-5930 本ホームページに掲載されている写真・内容の無断転用はお断りいたします。(C)Minatomachi Cinema Street |