日々変化を続けている横浜“みなとみらい21”の一番奥に位置する50街区―臨海パークに隣接し、潮風が心地良く薫る居住エリアと商業エリアが混在した新しいカタチの都市を形成している。多くの観光客で賑わう桜木町からクイーンズスクエア周辺から少し離れた場所にあるため、ここは“みなとみらい21”の中でも落ち着いた閑静な佇まいを見せている。その場所に建つマンション“Brillia Grande みなとみらい”の1、2階に「映像文化都市みなとみらい」をコンセプトとした全く新しい形の居住空間複合施設“Filmee(フィルミー)”が、2008年2月14日に誕生した。 施設名の由来は、“Film=映画”“me=私”、そして“everyday=毎日”を掛け合わせた造語。施設名の一端“Film”を担っているのが、2階にあるショートフィルム専門のミニシアター『ブリリア ショートショート シアター』である。 |
俳優・別所哲也氏が代表を務める(株)ビジュアルボイスが、国際短編映画祭“ショートショート フィルムフェスティバル&アジア”開催10周年を記念して立ち上げた日本初の映画祭連動の常設館だ。今まで、映画祭でしか観る事ができなかったショートフィルムをコチラの劇場で選りすぐりの作品を常時、観る事が出来るようになった。世界各国の作品を紹介して来た“ショートショート フィルムフェスティバル&アジア”とは、毎年6月に行われる短編映画祭。2004年に日本で唯一の米国アカデミー賞公認短編映画祭となり、名実共にアジア最大級の映画祭となった。長くて30分、短いものはわずか1分という制限の中で作られる短編映画…以外と短編映画に接した事がある人は少ない。「ショートフィルムの場合、映画祭が終わってしまうと観られなくなってしまう…というのが実情です。よほど大きな賞を獲ったとか無い限りはDVD化もされませんから、映画祭にいらっしゃったお客様からも“あの作品はもう観られないの?”等といったお問い合わせがたくさん寄せられていたのです…」と語ってくれたマネージャーの佐藤有美さん。 今までは、常設映画館が無かったのが短編映画の宿命だったのだが、新作は勿論、かつて映画祭で上映された作品も上映するなど、新旧取り混ぜて世界各国のショートフィルムをいつでも観る事が可能となり、1日2プログラム(1プログラム5作品)を交互に上映している。勿論、映画祭の横浜会場として今年6月には世界各国から集まった3000本もの作品の中から厳選された90本前後の作品が上映された。年間500本近くの作品を上映するコチラでは、入会すれば映画が観放題の“年間パスポート”会員サービスを6月より導入。入会費10,000円で1年間入場無料となる他、ポイントが貯まると様々なプレゼントやイベントに参加出来る特典があるので是非、ご利用いただきたい。ジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバーグといった今でこそハリウッドで、名を馳せている映画監督誰もが、ショートフィルムからスタートしているのは周知の事実。アメリカやヨーロッパ…そして日本でも登竜門的な役割を担っている。 |
|
「映画祭に応募してくる世界中の若い作家さんたちは、短い時間の中にギュッと凝縮されたアグレッシブな仕掛けや自由な表現方法で、メッセージ性の強い作品を作り上げているので面白いですよ」と語る佐藤さんは、ショートフィルムの魅力についてこう続ける。「世界各国から様々な作品が送られて来るので、あまり接する事が少ない国の映画に触れる事が出来るのもショートフィルムの良さ。インドやハンガリーのアニメ等、その国に対して思い描いていた事と違った一面を観る事が出来る楽しさを味わってもらいたいです」実際、先日行われた“フランスプログラム”において、我々がフランス映画に抱いている概念を吹き飛ばす様な、かなり過激な作品が上映され話題となったばかり。更に監督も来場したおかげで、口コミで火がついて多くの観客が訪れたという。今後もこうした特定の国にスポットを当てた特集や子供向けの特集なども企画しているらしいので、要チェックだ。 2階に上がると目の前に広がるガラス張りのエントランス。横にあるショーケースには、アカデミー賞の候補となった人だけに贈られるトロフィーなど、貴重な品々が展示されている。中に一歩、足を踏み入れると世界中の音楽が心地良く流れるお洒落な空間が広がっている。映画館とは思えないようなシアターラウンジは誰でも自由に利用出来るカフェとなっている。 |
場内へと続く階段の壁面を飾るのは、スペースデザイナー野口真里さんによる稲妻をモチーフとしたグラスアート…幻想的な光が夢の世界へと誘ってくれるかのようだ。場内はスタジアム形式で身体にフィットするフランスキネット社製のシートを採用。赤を基調としたほの暗い空間が快適なひと時を満喫出来る演出を施している。フード&カフェコーナーでは世界中から集まる作品のイメージに合わせたドリンクやスイーツが充実。映画観賞以外でもカフェとして自由に利用出来るのが嬉しい。ちなみにラウンジは、ギャラリースペースとして開放されており、作品の展示やワークショップ、ライブ演奏会等、様々なアーティストを支援してくれる。 「ラウンジでおしゃべりして、気が向いたら映画を観るような溜まり場的にもっと映画館を身近に感じてもらいたい」と語る佐藤さんは、最後にこう続ける…「ショートフィルムをよくCMと混同される方がいらっしゃいますけど、決められた短い時間の中で起承転結やストーリー性が存在しています。中には2年〜3年かけてコツコツ数分の作品を作り上げた監督もいます。一度ご覧になれば、きっとその良さを感じていただけると思います」(取材:2008年7月) |