



『庄内映画村資料館』がオープンしたのは平成18年7月7日。当時、庄内でロケをされていた"蝉しぐれ"のプロデューサー宇生雅明氏が、美しく雄大な自然が残るこの地を惚れ込み、また資金面で協力してくれた地元の人々に「何か映画で恩返しをしたい」という思いから、松ヶ岡に建てられた主人公・文四郎が育った生家のオープンセット(美術監督・櫻木晶の素晴らしい芸術作品で現在は映画村に移築)を一般公開されたのが、そもそもの始まり。「このセットを建てるのも一年がかりで、地元の大工さんは、時代劇に出てくる昔の家なんて建てた事がないから(笑)、最初は手探りで大変だったと聞いています。そこで地元の人たちとの団結力も深まっていよいよセットも取り壊さなくてはならない…という時に保存運動が起きたのです」と、語ってくれたのはスタッフの菅原真紀さん。その後、映画の撮影を誘致する会社「庄内映画村株式会社」を設立。各自治体が運営しているフィルムコミッションの役割を民間が担っているという珍しいケースだ。そして、平成21年9月12日にそれまで一時的に見学が可能だった『庄内映画村オープンセット』を常時一般公開している映画村として開業。毎年、多くの観光客が訪れる一大観光施設となった。特に"おくりびと"がヒットした年は資料館に展示された劇中で使われた資料を一目見ようと、大勢の映画ファンが詰めかけた。資料館に展示されている展示物は全て製作サイドや出演者からの好意で提供されており、新作が公開されるたび異なるためリピーターの方が多いのもうなずける。
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日本海に面し、金峰山、出羽三山に囲まれた山形県庄内地方。雄大な山並みが広がる月山の山麓に、近年、数多くの名作が作られた国内最大級のオープンセット庄内映画村がある。ざっと代表作を挙げるだけでも"蝉しぐれ"や"十三人の刺客"といった時代劇から"山形スクリーム"、"おしん"といった現代劇に至るまで枚挙にいとまがない。冬季以外は一般見学も可能で、3つのエリアから構成される88ヘクタールの広大な敷地に立つとタイムスリップした不思議な感覚に陥る。そして、そこから車で数十分の場所…旧庄内藩士が開墾した「松ヶ岡開墾場」に残る大蚕室を改築した映画の資料館『庄内映画村資料館』は庄内地方でロケをされた映画の資料を展示する珍しい施設だ。明治5年、旧庄内藩士が大木を伐採し、短い期間で広大な原生林を開墾。藩士たちは養蚕によって日本の近代化を進めるべく、明治7年に桑園を作り上げ、後に絹の産地として栄えた鶴岡という街を形成する。松ヶ岡開墾場は、庄内藩士が拓いた土地を国指定史跡として一般に公開。明治8〜10年に建てられた国内最大級とされている瓦葺上州島村式三階建の大蚕室10棟の内、瓦葺上州島村式の蚕室が五棟現存し、三階建ての一棟が修復されて松ヶ岡開墾記念館として、当時の開墾、農業、蚕糸関係の資料を展示している。庄内の米造り用具収蔵庫などを展示した農具館で歴史に触れた後は、荘内藩の建物を改築した待カフェで月山や広大な自然の風景を眺めながら食事を楽しむことが出来る。敷地の中央を走る桜並木の通りは満開の時期(4月中旬)になると、素晴らしい景色が広がる。





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