外の階段を上がると『静岡ピカデリー1』のエントランス前にあるテラスからは向かいに建つ“静岡オリオン座”の壁面タイル画を正面に見る事が出来る。建物単体の設計ではなく、街としてどのように見えるかを複合的に計算してデザインを施し、作られているのだ。『静岡ピカデリー1』のロビーは、高級感漂うシックでクラシカルなイメージの木目調のカウンターや装飾が施されているのが特長的だ。場内は、昔から変わらない大劇場の雰囲気を残しており、天井が高くスクリーンが大きく、迫力のある映像を楽しむ事が出来る。『静岡ピカデリー2』のワンスロープ式の場内も傾斜にゆとりをとっており、小さいながらも観易さには定評がある劇場だ。
「昭和30年代には、静活(株)は、この通りに松竹、大映、日活の封切館を持っていたわけです。当時、日本映画は全て週替わり二本立て興行を行っていましたから、お客様の数も半端じゃなかったと聞いています。日本映画が一番華やかな時代ですね…」と語る映画興行支配人、佐藤選人氏。「その後、テレビが普及して日本映画は斜陽の時代に入っていくわけですが…実は“七間町”の映画館が、最盛期と比べてもあまり変わっていないのです」と、言われる通り全国的に見ても、映画館を中心とした街が形成され、現在も現役で存続しているという例は珍しい。街に調和し、街の人々に愛されているからこそ、昔と変わらぬ姿を今に残しているのだろう。(取材:2006年6月)
【座席】 『ピカデリー1』463席/『ピカデリー2』315席
【音響】 『ピカデリー1』DS・SR・DTS・SRD
『ピカデリー2』DS・SR・SRD
【住所】静岡県静岡市七間町14
※2011年10月2日を持ちまして閉館いたしました。 |