『うなぎ』は川から見た風景が多い。しかし、観光地としての佐原ではなく、人が生活している佐原の風景をあえて選んでいるのが、今村監督らしい。佐原の駅前に降り立つと、あまりにも閑散とした雰囲気に驚かれるだろう。駅前にあった大型スーパーや量販店は数年前に撤退し、廃墟と化した建物だけが残っている。一瞬、観光地である小江戸―佐原は一体どこにあるのかと不安になる程。それも10分ほど香取方面に向かって歩いて行くと突然目の前に昔の建築物が現れるのだ。
小野川沿いにはしだれ柳風に揺れ、今でも川へ降りる石の階段と荷揚場が残されており、その昔、ここで荷物の揚げ下ろしをしていた事が、うかがえる。川に目をやると、舟めぐりの小さな舟が観光客を乗せて行き交う。伊能忠敬の旧宅前、樋橋(通称ジャージャー橋:伊能忠敬の屋敷の水路を通った水が一定の間隔で橋から、じゃーじゃーと流れ落ちるから)前にある乗船場から出ている舟からは、違った町の表情を見る事が出来る。
江戸時代に建てられた商店から大正時代に建てられた洋式のレンガ造りの三菱館など…一日では廻りきれないほど。また、利根川の向こうには水郷佐原水生植物園が広がり、150万本もの花菖蒲が開花する6月は幻想的な気分を満喫出来る。
佐原駅前観光案内所
■千葉県香取市佐原イ81-31
■電話:0478-52-6675
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