広島県の南央部に位置し、瀬戸内海に面した“竹原”は、古くは瀬戸内の交通の起点として栄え、室町時代には港町、江戸時代には製塩地として発展。江戸時代、「入り浜式塩田」を用いた製塩の技法によって、竹原塩と呼ばれる名品を産出するに至る。製塩はその後、昭和35年までの300年有余に渡り、竹原を発展させ、塩によって富を築きあげた豪商、商家の華やかな家々は、当時の様子をそのまま残し、その町並みは、“安芸の小京都”と呼ばれ、出格子、棒瓦屋根などを擁した江戸町人文化が、今もそのままの姿で残っている。平成12年、国の重要伝統的建造物群保存地区として「広島風景百選」に選ばれた。
「町並み保存地区」と呼ばれるこの地区は、縦横に交差する何本もの通りや路地から成っている。南北に走る中心の本町通りは白壁と飴色の格子が続き、北端の突き当たりには映画でも使われていた「胡堂」がある。通りには江戸中期から続く酒屋の建物を酒の資料館として開放している「竹鶴酒造」や“竹原”最古の建築物(1690年築)「吉井邸」などが見られる。その途中、交差している大小路に入るとまた違った風景が広がり、中でも重々しい数寄屋風建築の「春風館・復古館」は圧巻。
「町並み保存地区」の建物には個人所有のものが多く、実際にそこで生活をしている。だから、家の中からピアノの音が聞こえたり、普通に学校帰りの子供たちが「バイバイ」と言いながら重要文化財の家に入っていく光景が当たり前のように見られる。通りを歩き、そう…今もここにある家は生きて呼吸をしているのだ。
竹原市観光協会ホームページ
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