“柴又帝釈天”の縁日は庚申の日とされ、庚申信仰とも関連して多くの参詣人を集めるようになった。近代以降も夏目漱石の『彼岸過迄』をはじめ多くの文芸作品に登場し、東京近郊(当時は東京ではなかった)の名所として知られた。『男はつらいよ』のヒットによって主人公・車寅次郎ゆかりの寺として知られるようになり、年始や庚申の日(縁日)は非常に賑わい、今でも観光バスの団体客が大勢訪れている。
京成電鉄柴又駅前から伸びる参道を両側に建つ名物の草だんごや塩せんべい屋、老舗の川魚料理店などを眺めながらテクテクと歩いていると目の前にそびえる二天門が目に入る。門をくぐると、正面に帝釈堂、右に祖師堂(本堂)、その右手前に釈迦堂(開山堂)、本堂裏手に大客殿などが見える。参道から境内へと誘う「二天門」は、明治29年に建立され、入母屋造瓦葺の楼門(2階建て門)で、屋根には唐破風と千鳥破風を付し、柱上の貫などには浮き彫りの装飾彫刻を施こしている。境内に入って正面に見える「帝釈堂」は、拝殿と奥の内殿から成り、ともに入母屋造瓦葺で、拝殿屋根には唐破風と大ぶりの千鳥破風を付す。内殿は大正4年、拝殿は昭和4年に完成。内殿外側には全面に浮き彫りの装飾彫刻が施されており、中でも法華経に説かれる代表的な説話10話を選び視覚化した胴羽目板の法華経説話の浮き彫りは見事で、「彫刻ギャラリー」と称して一般公開している。
柴又帝釈天 日蓮宗【山号寺号】経栄山題経寺
東京都葛飾区柴又七丁目
柴又 帝釈天ホームページ
|