「遠くとも一度は詣れ善光寺」
皇極天皇元年(642)の本堂創建以来、法燈連綿として日本最古の御本尊を祀る『善光寺』は、日本を代表する霊場であり、法燈連綿として約1400年の歴史を持つ。また、日本において仏教が諸宗派に分かれる以前からの寺院であることから、宗派の別なく宿願が可能な霊場と位置づけられている他、女人禁制とされていた旧来の仏教においては、稀な女人救済の寺院として知られている。創建以来、11回の火災に遭い現在の本堂は宝永4年(1707年)に再建されたものである。高さ約27メートル、間口約24メートル、奥行約53メートルの本道は、国宝に指定されている木造建築の中で3番目に大きいといわれている。本堂に安置される御本尊一光三尊阿弥陀如来は、白雉5年(654)以来の秘仏であり、鎌倉時代に御本尊の御身代わりとして造られ、拝されるようになり、本尊は普段、御宝庫に安置されているが、七年に一度の御開帳の時だけ、特別に姿を拝むことが叶い当日には大勢の参拝客が訪れている。
大林監督は、あえてロケ地に長野の人たちでさえ知らないような路地裏ばかりを選んで撮影していた。映像を観ると観光地からほんの少し外れただけで、そこに生活している住民の暮らしの空気感がスクリーンを通して伝わってくる。「景色が綺麗だとか観光地では、映像は撮れても映画の物語は語り得ない」と大林監督は『転校生 さよなら、あなた』のロケ地マップで述べているが、これは尾道三部作の頃からずっと言い続けていた事だ。「50年後の長野の子供たちに見せたい映画を」という長野の人からの要望で始まったこの映画には裏路地こそがよく似合う。
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