STRAIGHT TO HEAVEN 〜天国へまっしぐら〜
ケリつけようぜ。カッコつかねぇもんなァ、逃げてばっかじゃ。

2007年 カラー シネマスコープ 84min KOM PICTURES
プロデューサー 石井良和、柏原久美子 監督、脚本 柏原寛司 脚本 野坂直代、いさみたかお 
撮影 原田裕司  編集 平井将人 音楽 ZUBOUS BROTHERS、鈴木清司 助監督 村上康敏 
メイク 宇佐美きく恵 撮影助手 小保方朝美
出演 正木蒼二、田中優樹、高橋将仁、片桐竜次、森川涼、清水美那、上原敏郎、鴻明、中西良太、掛田誠

『STRAIGHT TO HEAVEN』オフィシャルサイト http://kom.vc/movie/heaven/index.html


 練馬少年鑑別所出身の浩二(正木蒼二)と達也(田中優樹)は、振り込め詐欺をして稼いでいた。ある日、事務所が警察のガサ入れにあってしまう。利用できなくなった者に容赦のない元締の児山(片桐竜次)に二人は保険金をかけられ、命を狙われことになった。 仲間の充(高橋将仁)と共に達也の故郷である長崎へと逃走したが、頼った友人の明夫(森川涼)の恋人・真理(清水美那)が地元のヤクザの金を奪ったことで、長崎でもトラブルに巻き込まれてしまう。 更に、児山の命を受けた殺し屋が浩二と達也を追って長崎に現れた。浩二たちは児山の殺し屋と地元のヤクザを相手に、戦うハメになっていく。


 70年代から80年代前半にかけて松田優作や藤達也、萩原健一が活躍したハードボイルドの世界。ある意味、カッコいいけど不器用な生き方しか出来ない男たちを描き続けてきた柏原寛司氏が脚本だけではなく自らメガホンを取って完成させたB級アクション映画である本作。以前、Vシネマとして製作された『練鑑ブラザーズ ゲッターマネー!』の続編(キャラクターが同じでストーリーは直接つながっていない)だ。徹底してアクション描写にこだわり、インパクトの強い俳優陣を配している。その中でも長崎のヤクザ組織で取り立て屋を演じているタンゲっていう俳優、めちゃめちゃ忘れられない顔しているので要注目。ジャイアント馬場を200倍怖くしたキャラクターの持ち主だ。余計なセリフや物語は必要ない…と、言わんばかりに、アクションシーン以外の描写は潔い位にスッキリとまとまっている。さすが、長年に亘り、スタイリッシュ・ハードボイルド作品を手掛けてきた柏原監督は、観客に考える暇を与えず、あっという間にラストのクライマックスへ突き進む。
 冒頭、振り込め詐欺をしている主人公たちのギリギリ危ういシーンから始まり、間髪を入れずに警察のガサ入れ…と、矢継ぎ早にストーリーが展開していく。…と、いうよりも観客は映画に押し流されていく感じで息つく暇も無いとは正に、このこと。『あぶない刑事』シリーズを含め、横浜を舞台に作り続けてきた柏原監督は、今回の舞台を長崎に移し、ほぼ全編長崎ロケを敢行している。おかげで、観客は初めて長崎の違った一面を観る事ができる。特に8月15日に行われる長崎の伝統行事“精霊流し”をバックに繰り広げられる組織との追跡劇は必見。中でも忘れられないのが、廃墟と化した造船所で、鴻明扮する殺し屋と壮絶なバトルを展開するシーンだ。鴻明の風貌と100円ショップで殺しの道具となる出刃包丁を購入する姿が、怖さとユーモラスが同居していて実にイイ。長崎をロケ地に選んだのは大正解!結構、強行軍のゲリラ撮影を行ったり…と、撮影も本編並みのハラハラドキドキの連続だったという。面白くするためには、何でもやってやる!という作り手の信念がビシバシと伝わってくる映画である。

「誰かのせいにして楽なのは最初の内だけだ」セリフが少ない映画だけに、主人公が言い放つこのセリフが心に残る。

【監督作品】
平成9年(1997)
猫の息子

平成10年(1998)
ガン・プレス
死ぬにはもってこいの夜

平成13年(2001)
練鑑ブラザーズ
 ゲッターマネー!

平成20年(2008)
STEAIGHT TO HEAVEN
〜天国へまっしぐら〜

【脚本作品】
昭和62年(1987)
お嬢さん探偵
 ときめき連発!
あぶない刑事

昭和63年(1988)
またまたあぶない刑事
行き止まりの挽歌
 ブレイクアウト

昭和64年(1989)
もっとあぶない刑事
六本木バナナ・ボーイズ
べっぴんの町

平成6年(1994)
ゴジラVSスペースゴジラ

平成7年(1995)
ルパン三世くたばれ!ノストラダムス
狼たちのカーニバル

平成8年(1996)
ルパン三世
 DEAD OR ALIVE
あぶない刑事
 リターンズ

平成10年(1998)
あぶない刑事
 フォーエヴァー

平成11年(1999)
ゴジラ2000
 MILLENNIUM

平成12年(2000)
ゴジラ×メガギラス
 G消滅作戦

平成15年(2003)
プレイガール




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