最近、「LGBT」を題材とした映画が増えている。現在公開されているケイト・ブランシェット主演の『キャロル』や間もなく公開される『リリーのすべて』、『人生は小説よりも奇なり』と目白押しだ。しかし、「LGBT」という言葉について、我々は本当に理解しているのだろうか。渋谷区が同性パートナーシップを認めたというニュースで注目を集めるようになった「LGBT」をテーマとした映像と文芸のイベントが、この春、開催される。
今や日本を代表する国際映画祭として、毎年、国内外から多くの観客を集めるショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)が手掛けるブックショートプロジェクトと、作家や詩人など著名人が集まり文芸の魅力を発信する東京国際文芸フェスティバル2016が連携する「Rainbow Books & Films 〜LGBTの過去・現在・未来〜」である。
「LGBT」とは、レズビアン(=L)、ゲイ(=G)、バイセクシュアル(=B)、トランスジェンダー(=T)の人々を意味する頭文字からなる。今回のイベントでは、小説・映画・政治という3つの視点から、「LGBT」の過去・現在・未来を3人のゲストによって語られる。
小説を紹介してくれるのは元タカラジェンヌで東京ディズニーリゾート初の同性結婚式を挙げたことでも知られるLGBTアクティビストの東小雪さん。そして全国で初めて「同性パートナーシップ条例」が制定(東さんは同性パートナーシップ証明書の発行第1号だ)された渋谷区の長谷部健区長が、政治の目線から「LGBT」について、それぞれお話しされる。
中でも注目したいのは、『ハッシュ!』『ぐるりのこと。』等、国際的にも評価が高い作品を送り続け、第一回監督作品『二十才の微熱』を発表した後、自身がゲイである事を公表した橋口亮輔監督が、映画の視点から「LGBT」について語ってくれる事だ。昨年、7年ぶりに新作『恋人たち』を発表して、様々な愛の形と、その愛に苦悩する人々を描いた橋口監督が何を語ってくれるのか…期待が高まる。
さらに、SSFF & ASIA代表の別所哲也氏が、同テーマを題材とした厳選したショートフィルムを紹介。「LGBT」に対する考え方に変化が起こりつつある現在。その理解を更に深めるイベントになるだろう。 |