制服サバイガール [1][2]
“サバイバルランド”へようこそ。
2008年 カラー ビスタサイズ [1]78min [2]70min アートポート
制作 松下順一 監督、脚本、編集 金子大志 脚本 秋本健樹、古賀奏一郎 撮影 百瀬修司
企画・プロデューサー 加藤東司 特殊造型監修 西村喜廣 プロデューサー 斎藤有三、古賀奏一郎
出演 飛鳥凛、有末麻祐子、紗綾、鹿谷弥生、秦みずほ、小林万桜、仲村みう、藤堂新二
白石隼也、坂本一敏、町田光、鈴木拓也、川村亮介
2008年12月6日(土)よりキネカ大森にてロードショー
[1]:17歳の夏目さくら(飛鳥凛)は、仲間6人と共に、仲間の一人、葵(仲村みう)の叔父が経営するテーマパークへ遊びに行くことに。その名は“サバイバルランド”。忍者や侍、ガンマンに扮した敵とリアルなシューティングゲームが体験できる場所である。敵は狡猾な男たちだが、攻撃は一切してこないので、女性でも安心して楽しめる。7人はそれぞれコスプレをして武器を持ちゲームはスタート。敵役を打ち倒し、ストレスを発散、ゲームを楽しんでいた。しかし、敵役の1人が突然、敵味方関係なく攻撃を始める。しかも、本物の武器で…。人間をゾンビ化させる謎の植物が人間に寄生したのだ。我を忘れた相手に戸惑い、恐れをなす7人。しかも、その敵に殺された相手は、ゾンビとしてよみがえるのである。閉鎖されたテーマパークの中で、女子高生7人の、生き残りをかけた壮絶なリアル・サバイバルゲームが始まる!
[2]:テーマパーク“サバイバルランド”で起こった女子高生同士の残酷な殺し合いから数日後。無事に生き残った秋川葵、夏目さくら、工藤坩那は政府の特殊期間に保護され病院に隔離されていた。謎の植物に浸食されゾンビ化しつつあるさくら、心的外傷を受け、すっかり心を閉ざしてしまった坩那の姿。葵(仲村みう)は、クラスメイトたちを“サバイバルランド”へ連れて行った事を激しく後悔し、皆が犠牲になったことに責任を感じていた。「これ以上被害者を増やしてはいけない」と、未だにゾンビ化した人間が生存する“サバイバルランド”へ乗り込む葵であった。一方、葵の恋人である藍田勇平(白石隼也)は、音信不通になった葵を案じ、僅かな手がかりを頼りに“サバイバルランド”へ。しかし、ゾンビ化した人間に襲われ深い傷を負ってしまう。傷を負った勇平を介抱する葵。その日の夜、二人は体を重ねる。翌朝、葵は体に異変を感じる。激しい嘔吐、これまでに感じた事のない腹部の張り。それは明らかに妊娠の兆候。いつの間にかゾンビ化していた勇平、彼の子供を身ごもったのだった。葵の体内で異常なスピードで成長し出産へと近づいていく。謎の植物に浸食されてしまった葵と勇平。必死に生きる手だてを模索する二人に、再びゾンビ達の影が近づきつつあった。
時代劇のオープンセットのような町並みで侍や忍者役の人間とバーチャルの戦いを繰り広げるテーマパークという設定はかつてユル・ブリンナー主演で大ヒットした“ウエストワールド”(ネタ探しで苦しんでいるハリウッドが、まだリメイクしていない稀有な名作だ)を彷彿させるようで面白い。そんなゲームに女子高生たちが挑むヲタク心をくすぐるようなシチュエーションが良い意味でB級色満載。これに異常進化した植物が侍役の人間に取り付いてしまい実際に刃物を振り回すわけだから、正に“ウエストワールド”の世界。しかも、その植物は死んだ人間どころか生きている人間にまで取り付いて操ってしまうのだから“ボディスナッチャー”と“遊星からの物体X”の合わせ技一本!…っていうパワーで可憐な少女たちを次々と仲間にしてしまうのだ。金子大志監督は、前作『クレーマー』のジワジワと忍び寄る恐怖から一転、本作では女の子たちのアクションを描く事に徹底している。こうした映画の場合、彼女たちの演技は二の次で、問題はどこまで若々しさを前面に押し出せるかが重要なポイントとなってくる。東映プログラムピクチャーの金字塔となった“女番長シリーズ”が、そのイイ例だ。セリフが多少棒読みだって良いのだ。主人公を演じる飛鳥凛も彼女をライバル視している有末麻祐子にしても定番の役どころながら、いっぱいいっぱいの演技をしている姿がいじらしい。
第1部が人間に寄生して操る“遊星からの物体X”のような敵を相手にしていたのに対して、第2部は、寄生された彼氏の子供を身ごもってしまい急速なスピードで成長する“スピーシーズ”の如き恐怖を描いている。無事に生還した一人(第1部ではずっとゴミ箱に隠れていた脇役だった)仲村みう演じる女の子が、2部では主役となり、一方、1部で活躍した飛鳥凛が2部では…という設定が面白しろかった。また人間と植物の子供を身ごもった主人公が、子供の能力に感化され、驚異的な能力を発揮するあたりも“妖獣都市”を彷彿させて、子供が主役の3部が観てみたくなった。金子監督は前作『クレーマー』でも2作品を同時に撮影して2本同時に公開していた。その手法は本作も同様。プログラムピクチャー全盛の昭和30年から40年、やはり一回の撮影で前後編を一緒に作ってしまう方式を採用していたが、本作のようなアクションやホラーものには、この手法は向いているかも知れない。
美少女・ゾンビ・アクション…色々な映画の面白エッセンスを抽出したエンターテイメント。是非、“ファンタスティック映画祭”に出品してもらいたい。