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ショートフィルムの華 佐津川愛美特集 『カクレ鬼』 『デブデカ』 『Sleeping Man』 『ミステルロココ』 2010年7月1日(木)より31日(土) 佐津川愛美特集vol.1
初めて彼女が出演したショートフィルム『カクレ鬼』はCGを駆使した時代劇アクション。何と、いきなり2009年のSSFFにおいてオーディエンス・アワードを受賞している。冒頭、女忍者に扮する佐津川愛美のアップから始まる本作。今まで観たことがないカッコイイ佐津川に出会える。勿論、彼女にとってアクションも殺陣も初めてのチャレンジ。京都太秦での撮影だったが、京都に向かう新幹線から緊張してお腹が痛くなっていたそうだ。「基本的にビビりなので、撮影が始まるまでは、上手く刀を扱えるか怖かった」と語っているが実際の映像を観ると、そんな心配が嘘のように実にサマになっているのだ。(何と初めて刀を手にして、わずか半日、殺陣を教えてもらっただけだという)特に眼光鋭い彼女目から発せられる殺気は作品に独特の緊迫感を生み出している。現場では、新体操の技をアクションの中に取り入れたりと、積極的に意見を出し合って作り上げて行ったという佐津川愛美。振り返ると、さんざん緊張して挑んだ初アクションだったが終わってみると楽しかったらしく、またやりたくなったと笑顔を見せた。 そんな思いが早々に実現した作品が…横浜の歓楽街、桜木町から野毛界隈を舞台とした刑事ドラマ『デブデカ』(あっ、もしかして横浜が舞台だから“あぶデカ(あぶない刑事)”をもじった?)だ。本作では、佐津川扮する小柄な新人刑事が凶悪な犯人を叩きのめすのアクションを堪能できる。本作の佐津川愛美は走る姿が実に美しく、劇中見せる背負い投げも見事だった(背中が筋肉痛になる程、頑張ったそうだ)のは、新体操で培われた瞬発力としなやかさの賜物であろうか。また本作では、最初から最後まで泣きの演技を披露しているのが珍しい。「ラブシーンと泣く演技は得意じゃないんですけど…」と謙遜するが、麻薬中毒者に父を殺された過去を持つ主人公が、泣きながら怒りを爆発させる演技は見事だ。とにかく、感情が高ぶると顔をクシャクシャにして泣き出す(登場シーンから泣いていた)表情が実にキュート。特に筆者のお気に入りは、彼女が麻薬犯を憎む理由を知ったデブデカが、彼女のキレやすい性格を逆手に取るシーン。なかなか自白しない犯人(逮捕される際に彼女から既にボコボコにされている)にキレた彼女がいきなり椅子を振りかざす姿は可愛カッコ良く、これでまた佐津川愛美のレパートリーが増えたようだ。 そして、海外市場への展開を視野においた『Sleeping Man』は、日本の童話“三年寝太郎”をモチーフとした家族の絆をホンワカしたタッチで描いている。ある時を境に会社に行かなくなり、1日の大半を眠り続ける父を困りながらも暖かく見守る家族の姿に心が暖かくなるハートウォーミング・ドラマだ。佐津川が演じるのは高校生の長女で、彼女のモノローグで物語が綴られていく。6分弱と小粒ながらもショートフィルムらしいサイズの可愛らしい作品だ。父親に扮する堀部圭亮はセリフは無いものの存在感溢れるピッタリな配役であった。 今年のSSFFミュージックShortクリエイティブ部門にエントリーされた最新作『ミステルロココ』は、可愛いロリータファッションに身を包んだ今まで見たこともない佐津川愛美に出会う事が出来る。「ちょっとクセのあるキャラクターなので普通に演じない方がイイかなぁ〜と思っていました」と語っていたが、確かに本作における佐津川の表情は実に豊かだ。自分の好きな王子様(演じるのが猫ひろし…っていうのが最高だ)が他の女性に向いてしまった時に見せる怒りの表情は彼女の魅力が凝縮されている。大きな女性が好きだと言い残して女子プロレスラーに乗り換えた彼氏を取り戻すために強靭な肉体に鍛え上げるシーンではロッキーの如く生卵を丸飲み(この日は体調が絶不調だったにも関わらず…ナイスファイト!)したり、筋トレに励む姿(彼女は、このシーンが一番気に入っている)が映し出される。後半は鍛え上げられた彼女の姿を見ることが出来るので乞うご期待!(詳しくは劇場に行って確かめよ!)。 様々な表情を見せる佐津川愛美の演技を楽しみながらも驚愕させられる1時間だ。 |
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