Re:Play-Girls リプレイガールズ
死にたい美少女たちは生きるために戦った。

2010年 カラー ビスタサイズ 94min アドウェイズ・ピクチャーズ
監督、脚本 Yuki Saito プロデューサー 伊藤主税、鈴木恒安、小出由佳 アクション監督 鈴村正樹
撮影 Teruhisa Yoshida、加藤哲宏 音楽 H.L.EURO 整音 辻井一郎 照明 ウォーターメソッドマン
録音 Huntley Nicholas メイク 竹村由三子 衣装 山崎祐太 編集 石川慶 VFX Kiy

出演 外岡えりか、佐武宇綺、佐藤さくら、小泉麻耶、かの夏帆、三浦萌、小林香菜、藤沢玲花
真知りさ、水野神菜、早麻ひかる、藤波心、渡部やえ、遠藤舞、 大坂俊介

2010年8月1日(日)より30日(月)まで ブリリア ショートショート シアターにて先行ロードショー
8月21日(土) 豊川コロナシネマワールド(愛知)でご当地先行上映開始
9月以降 都内ほか全国順次公開
『Re:Play-Girls リプレイガールズ』オフィシャルサイト http://www.rpg-movie.jp/


 親友にイジメを受けたショックから、自殺サイトに「死にたい。人生をやり直したい」と書き込みをする女子高生ミチ(外岡えりか)。その時、画面上から「人生をREPLAY しますか?」と問いかけられる。ミチは躊躇する事なく「…はい」と答える。それがすべての始まりだった。自殺サイトに集まった自殺志願者、計12名の女子高生。ミチの他にも親友をイジメから救う事が出来なかったアリサ(佐武宇綺)や失恋したリオ(小泉麻耶)など様々な理由で死を望んでいる女の子ばかりだった。そこにはミチの親友でイジメの張本人だったハルナの姿もあった。彼女たちは強制的に、自殺ゲーム「リプレイガールズ」の参加者となった。場所も分からない孤島で、自殺案内人を名乗る男・実原(大坂俊介)は、遺書と自殺道具を彼女たちに渡して「明日の朝までに自殺してください」と告げる。キャンセル不可能、逃れられないゲームが幕を開ける。


 自殺サイトというものが存在している現代社会。そのサイト自体を闇の部分と位置付けてしまうのは、すごく安易な事だと最近になって気づいた。確かに“私と一緒に自殺しませんか?”という書き込みもあったりしても、それを実行に移すのではなく、彼ら彼女らは心に抱いている鬱屈した感情を吐露してギリギリのラインで踏みとどまっているのかも知れない。自殺したいと思っている人間が、自殺をほのめかす人間の話を聞き、思いとどまらせる言葉がチャット上、頻繁に出て来るという。ただそれは同じ境遇だから苦しみを理解できる…という単純な構図ではないようだ。本作は誰も止めてくれる友人がおらず、自殺を支援してくれる“リプレイガールズ”に参加した12人の女の子たちの物語だ。自殺をテーマとしているからといって社会問題を全面に謳った硬い作品に仕上げていないのはYuki Saito監督の手腕によるもの。エンターテインメントに徹した作品に仕上げながら自殺というテーマをどのように絡ませていくか?を考えた末にたどり着いたのがサバイバルアクションに至る展開だった。最初プレスシートを読んだ時、正直言って意味が理解出来なかった。自殺とサバイバル…?この対局を成す2つのワードが物語が進むにつれクライマックスで融合していくのは鮮やかだ。
 大きく分けて3つのシークエンスで構成されている本作。前半は外岡えりか演じる主人公ミチが突然、親友に裏切られてイジメの対象となるまでが描かれる。イジメの理由はミチが携帯小説を書いている事を親友のハルナが皆にバラした事に端を発する。親友を信じて自分の語った夢(初めて彼女が自分で見つけた夢だった)がイジメの理由となるなんてたまらない苦痛だ。印象に残るのはミチが夜の公園で、書き上げた携帯小説を失意の中で削除してしまうシーンだ。この時の外岡の表情が最高にイイ!後半は一転して現実離れしたパラレルワールドが展開。突然、無人島に連れてこられた少女たちは明日の夜明けまでに自殺するよう案内人に命じられる。ここで興味深いのは、「死んでいいよ」と言われた時の彼女たちが一瞬躊躇するところだ。敢えて女優を起用せずにアイドルやフォトジェニックを選んだ理由は単なる話題性だけではない。演技に依存しないおかげで、素(生?)の少女たちの姿が浮び上がってくるのだ。少女の一人がビデオカメラで最後に生きた証しを残そうと撮影するシーンがある。数人が練炭を中心に自分の思いをカメラに向かって泣きながら話す。実際に出演者にビデオカメラを持たせて撮影させたというノイズ混じりの画像が生々しく切ない。明け方…自殺を実行した者と思い止まった者の違いって何なのか?と考える余地もなく次のステージへと駒は進められる。ここからの展開が実に早くYuki監督は、自殺を考えた生存者に対して容赦なく過酷な死の試練を与える。一見、残酷な美少女バイオレンスものと思えそうな先に、思わず“そうきたか!”と膝を叩く3つ目のシークエンスに当たるエンディングが用意されている。なるほど…上手い。

自殺をテーマにしたアクションバトル系のエンターテインメントかと思いきや、最後は清々しささえ覚える奥深い人間ドラマだった。

【Yuki Saito監督作品】

平成16年(2004)
TRIANGULATION POINT

平成21年(2009)
カクレ鬼

平成22年(2010)
Re:Play-Girls
 リプレイガールズ

【外岡えりか出演作品】

平成21年(2009)
あばしり一家 THE MOVIE

平成22年(2010)
Re:Play-Girls
 リプレイガールズ




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