光り輝いてる明日に 向かって歩き出そう確かに 目の前が暗くへばりそうでも…

 ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2012のミュージックShort部門でシネマチックアワードを受賞したショートフィルム『グッドカミング トオルとネコ、たまに猫』のエンドロールで流れる主題歌『明日に』。夢に向かって背中を押してくれるこの曲を歌うのは福岡出身の三人組ユニットGood Comingだ。今年2月にデビューしたばかりの彼らの楽曲をイメージして作られた本作は、主演の松坂桃李が彼らのファンだった事から、同じアーチストとして何か一緒に出来ないか…と誘いを受けたところに端を発する。

 「松坂桃李君が僕らのライブに遊びに来てくれたのがキッカケで、楽屋を訪ねてくれた時に話が出まして、そこでお互いに硬く熱い握手を交わしたのですが、まだデビュー前でしたから本当にイイのかなって半信半疑で、ドッキリじゃないのかなって思っていました(笑)」と語ってくれたのは、DJ、キーボード、ベースを担当している金井田健太。再び彼らの元にスタッフから連絡が入ってから初めて実感として湧いたという。月川翔監督は、Good Comingの曲のイメージに合わせて脚本家の村上桃子と共に映画のコンセプトを固め、いくつかの脚本を作る。更に、その脚本のイメージに合わせてGood Comingが新たに書き起こして出来たのが『明日に』というわけだ。「まず脚本を見た時に率直に思ったのは、まさに僕らが辿ってきた道だな…ということでした」と語るボーカルの桐明孝旨。「基本、僕らの音楽は実体験を取り入れるというスタンスがあるのですが、桃李君が演じる主人公の思いが福岡にいた頃の僕たちと同じだったので、新しいイメージを膨らませるというよりも自分たちの過去を辿る…という感じで曲を作りました」だから特に変わった感じはしなかったと語る桐明が思ったのは「まずは希望を詰め込んだ歌を作ろうという事でした。分かりやすい歌詞で、誰かの背中を押してあげられるような曲にしたい…というのが一番の念頭にありましたね」。

 常に自分たちの実体験を元に曲を作る彼らにとって本作『グッドカミング トオルとネコ、たまに猫』の主人公トオルは正にGood Coming自身のようだった。最初、桐明とギターの原口知之で結成していたバンドに金井田が参入し、本格的な活動を開始する矢先、原口が大学卒業を機に地元企業に就職する。バンド活動一本で続けて行く事への限界…やがて三人の足並みも乱れ始め、一時期は解散する考えも頭をよぎったという。そんな時に原口が会社を辞めて再び彼らは夢に向かって歩き始める。様々なオーディションを受けて結果が伴わなかったとしても彼らは決して諦めなかった。友人の結婚式で披露した『仲間』が、その後レコード会社の目に留まり、見事メジャーデビューを果たしたのだ。まさに彼らが歩んで来た道は、本作でトオルが最後に決断を下す…というストーリーそのもの。ラストシーンで映し出される、夢に向かって旅立つトオルのうしろ姿は福岡から上京してきた彼らの姿と重なる。そして、流れる主題歌『明日に』は、「信じて頑張れば、いつか明るい未来がやってくる。長い間、芽が出なかった僕らも、頑張ってきたから未来を変えられたんだ…という事を伝えたい」という思いが込められているという。ずっと自分たちが作った音楽が映画に使われるとイイな…と思っていた彼らが、完成した映画を観た時、「これからも歌を続けていれば、未来が楽しいものになるんじゃないか…って」と改めて自分たちの思いを新たにしたと語る言葉が印象に残った。

取材:平成24年6月30日(土)舞台挨拶後 ブリリア ショートショート シアターロビーにて


Good Coming
福岡発、雑食系、苦労人(?)3人組ユニット。
デビュー前に映画『Paradise Kiss』劇中歌として「LIFE CASE」が起用され、仲間との絆を唄った大友情ソング「仲間」(テレビ東京系アニメ“銀魂”ED曲)で、2012年2月29日にデビュー。また、カップリング曲「桜、咲き誇れ」は、“洋服の青山フレッシャーズフェア”TV-CMソングとして話題になる。現在は、東京近郊を中心に活動展開中。
写真左より
金井田健太/Kenta Kabaida(D.J、キーボード、ベース)
桐明孝明/Takashi Kiriake(ボーカル)
原口知之/Tomoyuki Haraguchi(ギター)




Produced by funano mameo , Illusted by yamaguchi ai
copylight:(c)2006nihoneiga-gekijou