ピンクカット 太く愛して深く愛して
女の子 股を割ったらヒワイ感!!ヒップタッチ、ボインアタックすべてよし こんな理容店があったんだっ!!
1983年 カラー ビスタサイズ 68min にっかつ
プロデューサー 中川好久 監督、脚本 森田芳光 脚本 木村智美 撮影 鈴木耕一 選曲 佐藤富士男
美術 中沢克己 照明 矢部一男 編集 川島章正 助監督 金子修介 録音 小野寺修 記録 森永恭子
企画 進藤貴美男、小松裕司 スチール 目黒祐司 色彩計測 田口晴久 製作担当 三浦増博
出演 寺島まゆみ、伊藤克信、井上麻衣、渡辺良子、山口千枝、山地美貴、麻生みちこ、佐藤恒治
山田克朗、小林宏史、今日珠実、浅紫ことみ
にっかつロマンポルノ第1作「(本)噂のストリッパー」の好評を得て、引き続き監督を務めた森田芳光のロマンポルノ2作目。たまたま通りがかった自由が丘の床屋(当時は“おしゃれサロン”と称していた)で女性ばかりのお店に入った森田芳光が物語の骨格を考え、「あんねの子守唄」の木村智美と共に共同で脚本を執筆。助監督には、後の平成ガメラシリーズを手掛ける金子修介が担当しており、以降森田芳光作品のメインスタッフとなる。撮影はベテラン鈴木耕一が担当し、全編移動撮影といったロマンポルノでは珍しい実験的な映像を取り入れている。出演は当時、宇能鴻一郎の作品に数多く出演しロマンポルノ界の聖子ちゃんと呼ばれ人気を博していた寺島まゆみと、ロマンポルノ界の百恵ちゃんというフレーズでデビューした井上麻衣。また、森田監督作品には欠かせない伊藤克信が脇を固めている。
大学へ通いながら亡くなった両親の家業の床屋を切り盛りしている女子大生のまみ(寺島まゆみ)の店ではトルコ嬢出身のみどり、ホステス出身の純子、ツッパリ娘あがりの智枝などが超ミニスカートで働いている。そのおかげで連日、若い男性が集まり店は大繁盛。店の切り盛りで、単位不足で卒業も危ういまみは、出席日数不足を教授の田島と関係することで切り抜けている。ある日、就職試験を明日に控え店を訪れた大学生の明(伊藤克信)は試験のことも忘れ、すっかり店のファンになってしまった。明には由加(井上麻衣)という恋人がいるのだが、毎回、就職試験に落ちる明に彼女は呆れ果て、関係は冷め始めていた。由加の小言から逃げるようにまみの店に通うようになった明だが…ある晩、二人っきりになったとき、彼女に迫って店から追い出されてしまう。ある日、まみは店員の智枝がお客にスペシャルサービスをやってチップを請求しているのを知り、注意する。客の中には、淫らな下心から通っている青年もいるということを教えられ、悩むまみは明に電話をする。その日、初めて体を重ねた二人は、一層親密となった。数日後、卒業が間近になった明の元に一流企業の入社が内定したという連絡が入る。しかし、明はまみの前で入社通知を破ると、彼女の店で一緒に働きたいと宣言し、結婚を申し込むのだった。
若い女性だけの床屋を舞台に繰り広げられるお色気青春コメディー。森田芳光監督が『(本)噂のストリッパー』に続いて手掛けた“にっかつロマンポルノ”の青春路線だが、前作がホロ苦い失恋ものの名作だったのに対し、本作は全編軽いタッチで、あちこちに遊び心が溢れている。実際に自由が丘にあった女性ばかりの床屋に偶然入った森田監督がヒントを得て構成をまとめただけあって、あらゆる要素をごった煮にしながらも上手く整理されている。若い女の子ばかりの床屋で制服は超ミニスカートときたら、バブル時代に一世を風靡したノーパンしゃぶしゃぶ…なぁんてものがヒットするくらいだから、こんな風俗店があったら確かに面白い…と、思う。バブル前夜に作られた本作は正に先見の明があったと言え、それを考え出した森田監督はスゴい!映画は時として現実のビジネス以上に思わぬヒットにつながるヒントが隠されているのだが…。理髪店で頭を洗ってもらう時に、その女性の胸が当たって、これは面白い…というところから生まれたというのだからアンテナを日頃から延ばしていなくては面白い作品は生まれないという事だ。
主人公の店主まみを演じる寺島しのぶが、美保純に続くポルノ界を背負って立つアイドルだけに好感度は抜群。健康的なエロスを発散させつつ物語を引っ張って行く。そんな彼女を起用した事で、明るいホンワカムードが全編を漂い、森田監督のメジャーデビュー作『の・ようなもの』で見せたようなフワフワしたイメージを醸し出す事に成功している。共演の井上麻衣だけは常にクールで彼女が登場するシーンだけは寂しいアコーディオンのBGMが流れているのが笑えてしまう。他の女優陣も色々なタイプの店員キャラを色濃く打ち出し、中でも常に前職(風俗孃)のストレスからお腹を壊している渡辺良子は、いつもクールで「もう体力も戻ったから…」と、風俗業界に帰って行く潔さもカッコ良いではありませんか。また、お客さんへの過度なサービスを施したために叱られてしまう新人店員を演じる山口千枝は、可愛らしい顔立ちからは想像もできない程の大胆さを有しており、各々個性的なキャラクターを延び延びと演じているのが観ていても伝わってくるのだ。床屋のセットを鏡の側からカメラが横に移動して客と店員の様子を捉えており、キャラクターを効果的に見せている。もしかして、このカメラワークって次回作『家族ゲーム』への実験だったのだろうか?
また、共演に『の・ようなもの』に引き続き森田監督とコンビを組む伊藤克信を配し、相変わらず棒読みにしか聞こえない栃木訛りで垢抜けない大学生役を好演している。何度、就職試験を受けても落ちてばかりいるダメ男を演じさせたら彼の右に出る者はいないだろう。恋人の由香が何を言ってもイジケルだけの男が彼のセリフ廻しにピッタリハマるのだ。更に本作から森田監督の名バイプレイヤーとして長年に渡って出演している常連、佐藤恒治が主人公の親友役で登場。監督から外国映画の吹き替えのようなセリフの言い方で…という注文をされて、何とも不思議なキャラクターとなっていたのが印象に残る。エンディングも晴れて伊藤克信にプロポーズされた寺島しのぶが出演者一同と花吹雪の中で歌い踊るというミュージカル仕立てになっているのも森田監督らしいユニークな演出であった。
「“の”の字書いて“はっ”」ラストシーンでまみと明が愛し合う場面で二人がとるリズム。何とも無邪気で微笑ましいセックスシーンだ。
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